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2023.10.07

持分を放棄した際の贈与税はどうなる?注意点についてご紹介!

持分を放棄した際の贈与税はどうなる?注意点についてご紹介!

持分放棄と持分贈与について、それぞれの違いがよく分からず、お困りの方も多いのではないでしょうか。
しかし、それぞれお金に関する話であるため、詳しく知りたい方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、持分放棄と持分贈与の違いや、持分贈与をするときの注意点についてご紹介します。

 

□持分の放棄と贈与の違いとは

1.引き継ぐ相手を特定するかどうか
持分放棄については、自分以外に複数の持分共有者がいる場合は、それぞれの持分割合に応じて放棄分が割り当てられるため、特定の持分のみを増やすことはできません。
しかし、持分贈与の場合は、特定の共有者や第三者に贈与することも可能です。

2.それぞれの取得時期と取得費用の判断
持分を放棄や贈与したことにより獲得した人が持分を売却した際は、譲渡所得税の課税対象に該当します。
譲渡所得は、売却した際に出た利益から取得費用を差し引いて算出できます。
持分放棄の場合、贈与税が課税された時点の時価が取得費用となりますが、一方で贈与の場合は贈与税の時価課税と売却時の時価課税が二重で課税されます。

*持分を放棄する場合とは

1.持分の所有者同士で話し合いが困難な場合
持分の所有者同士の関係が悪く、そもそも話し合いをすることが困難、もしくはできない場合は、持分贈与ではなく持分放棄を行うようにすると良いでしょう。
不動産の管理方法や管理費用、税金など所有者同士で対立する要因は様々存在します。
持分を放棄することで、これらのトラブルを解消できます。

2.他の所有者が売却を拒んでいる場合
共有名義の不動産を売却する際には、共有者同士の同意が必要です。
持分をできるだけ高く売りたい場合は、不動産の全てを売却すると良いですが、所有者全員が同意しない場合、持分放棄をして自分の持分だけでも手放すことは可能です。

□持分を放棄した際にかかる贈与税について

持分を放棄した場合、民法上では贈与には該当しないため贈与税が課税されることはありませんが、相続税法においては贈与とみなされ、贈与税の課税対象となります。
贈与の場合も放棄の場合も、課税に大きな差はないものの、贈与や放棄により得た不動産を売却する場合は、課税関係に違いが生じるため注意が必要です。

不動産を売却した際には、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、「売却により得た収入」-「取得費用」=「譲渡所得」に対して課税され、贈与の場合と放棄の場合で取得費の取り扱い方が異なります。

*贈与により不動産を取得した場合

受贈者は、贈与された不動産の取得日・取得費用を、贈与者のものからそのまま引き継ぎます。
ただし、引き継ぐ取得費を売却時に超えてしまった場合は、超えた部分を二重課税されることになるため注意が必要です。

*持分の放棄により不動産を取得した場合

取得費については、贈与課税時は「概算取得費(売却金額の5%等)」です。
持分の放棄の場合、取得費の引継ぎがなく、贈与課税時の時価を取得費用とすることから、二重課税されることはありません。

□持分贈与の注意点について

1.不動産登記を忘れずに行う

不動産を所有している場合、固定資産税の課税対象者に該当します。
持分放棄、持分贈与をすると不動産の所有者ではなくなります。
しかし、固定資産税の課税は台帳課税主義であるため、登記をして不動産の名義を変更しない限り、固定資産税を支払い続けなければなりません。
したがって、不動産を持分贈与した際は、名義変更のための不動産登記を忘れずに行うようにしましょう。

2.固定資産税の納税義務者は1月1日時点で決まる

持分贈与し、更に不動産登記まで完了していても、固定資産税の納税義務者は1月1日時点の所有者で判断されます。
したがって、不動産登記まで完了させていても、その年の固定資産税については納税義務があります。

3.その他税金対策について

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子供や孫に対して財産を贈与する際、「相続時精算課税制度」を利用できます。
「相続時精算課税制度」とは、贈与されたものの最大2500万円までを相続財産として扱う制度のことです。
この制度は、他の相続財産が少なく相続税が非課税または税負担が少ない場合や、贈与時の時価評価で相続時の課税額が評価されるため、将来的に値上がりが見込める土地や建物を持分贈与する場合にメリットが大きくなっています。

ただし、「相続時精算課税制度」を利用することで、暦年贈与による毎年110万円までが非課税になる「基礎控除枠」は利用できなくなるデメリットも存在します。
暦年贈与を利用すると、相続財産を毎年少しずつ減らすことが可能ですが、実際に相続が発生した際には過去三年間に行った贈与分が相続財産に含まれます。
したがって、利用する場合はなるべく早めに対策するようにしましょう。

□まとめ

持分放棄と持分贈与の違いは、引き継ぐ相手を特定するかどうかと、取得時期と取得費用の判断の2つです。
持分贈与の注意点として、不動産登記を忘れずに行うこと、固定資産税の納税義務者は1月1日時点で決まること、相続時精算課税制度を利用する時期などがあります。

投稿者

  • 久保 元

    宅地建物取引士/管理業務主任者 新卒から建設会社にて、現場監督、注文住宅販売など建築にかかわり、宅建取得とともに不動産営業の世界へ。新築マンション販売では、入社から販売実績を重ね管理職へ昇進。営業マン指導、広告、マーケティング、デザインまで幅広い経験を経て三軒茶屋不動産を起業。地域の賃貸仲介や不動産管理、不動産売買を主たる業務として行い業績を伸ばしております。信頼ある不動産会社をめざして、お客様をサポートさせていただいております。