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2024.05.20

相続と生命保険の受取人について:税金を理解し賢く対処する方法

相続と生命保険の受取人について:税金を理解し賢く対処する方法

相続の手続きを進める中で、生命保険金の受取に関する疑問や不安を感じる方は少なくありません。

生命保険金は一般的な相続財産とは異なる特殊な財産であり、受取後の扱いや税金についてよく理解しておく必要があります。

本記事では、生命保険金の受取が相続税に与える影響とその計算方法、適切な対応策について詳しく解説します。

□生命保険と相続税の基礎知識

 

生命保険金は被相続人の所有財産ではなく、死亡をきっかけに保険会社から支払われるため、通常の相続財産には該当しません。

しかし、税法上は「みなし相続財産」として扱われ、一定の金額を超える場合には相続税の対象となります。

ここでは、死亡保険金がみなし相続財産とされる理由や、相続税の計算方法、受け取り時の注意点について解説し、基本的な理解を深めていきましょう。

 

1:死亡保険金は遺産分割の対象にならない
死亡保険金は受取人固有の財産となるため、相続人同士で分け合う必要はありません。

相続放棄した人や第三者が受取人になっていても、一部を法定相続人に渡す義務はないのです。

遺産分割を要求された場合は、死亡保険金が自分だけの固有財産であることを伝えましょう。

 

2:みなし相続財産の考え方
死亡保険金は民法上の相続財産ではありませんが、相続税法上は「みなし相続財産」として扱われます。

つまり、相続財産のように分割する必要はないものの、税金の計算上は相続財産とみなされるということです。

家族の死亡後に受け取った財産が死亡保険金のみであっても、一定額を超えれば相続税の申告と納税が必要となります。

 

3:死亡保険金の相続税計算の特徴
死亡保険金に対する相続税の計算には、いくつかの特徴があります。

まず、「500万円×法定相続人の数」が非課税となる点です。

この非課税枠を活用することで、納税額を抑えることができるでしょう。

また、葬式費用や借入金の返済に充てた死亡保険金は、相続税の課税対象から控除されます。

ただし、死亡保険金を相続財産に含めることで、相続税の総額が増加する可能性があるので注意が必要です。

 

□生命保険受取人が行う相続税計算例

 

それでは、具体的な家族構成のケーススタディを用いて、死亡保険金受取人の相続税の計算方法と、税額を抑えるためのポイントを詳しく見ていきましょう。

 

【ケーススタディ】夫婦と子供2人の4人家族。
夫が死亡し、妻が死亡保険金5,000万円を受け取った。
その他の相続財産は1億7,000万円で、妻が1億3,000万円、子供2人が2,000万円ずつ相続した。
また、借入金の返済300万円と葬式代200万円を保険金から支払った。

 

1:課税価格の計算
まず、相続財産と死亡保険金の合計額から非課税金額と債務・葬式費用を差し引いて、課税価格を計算します。

死亡保険金の非課税金額は、「500万円×法定相続人の数(3人)=1,500万円」。

課税価格は、1億7,000万円+5,000万円-1,500万円-500万円=2億円となります。

 

2:法定相続分に基づく取得金額の計算
課税価格2億円を、法定相続分に基づいて配分します。

妻が1億2,000万円、子供2人が4,000万円ずつとなります。

ここで計算した金額が、それぞれの相続税の課税対象となる取得金額です。

 

3:基礎控除額の計算と相続税額の算出
各相続人の基礎控除額を計算します。

「3,000万円+600万円×法定相続人の数(3人)=4,800万円」が基礎控除額となります。

取得金額から基礎控除額を差し引いた残額に税率を掛けて、一人ひとりの相続税額を算出。

妻は、1億2,000万円-4,800万円=7,200万円に対して30%の税率で2,160万円の相続税。

子供2人は、4,000万円-4,800万円=0円で相続税は発生しません。

 

□まとめ

 

本記事では、生命保険金の受取が相続税に与える影響とその計算方法、適切な対応策について詳しく解説しました。
この記事を参考に相続に対する知識をつけておきましょう。

投稿者

  • 久保 元

    宅地建物取引士/管理業務主任者 新卒から建設会社にて、現場監督、注文住宅販売など建築にかかわり、宅建取得とともに不動産営業の世界へ。新築マンション販売では、入社から販売実績を重ね管理職へ昇進。営業マン指導、広告、マーケティング、デザインまで幅広い経験を経て三軒茶屋不動産を起業。地域の賃貸仲介や不動産管理、不動産売買を主たる業務として行い業績を伸ばしております。信頼ある不動産会社をめざして、お客様をサポートさせていただいております。