2024.05.28
相続で兄弟が亡くなっていたら?代襲相続の知識を深める
相続問題に直面した際、法律に関する知識不足から不安になる方は少なくありません。
特に、兄弟間で起こる代襲相続は、自分自身が当事者になる可能性が高いため、しっかりと理解しておく必要があります。
本記事では、代襲相続の基本的な知識を身につけ、万が一の際に適切な対処ができるようになることを目的としています。
□兄弟間の代襲相続とは?基本的なメカニズムを把握しよう
代襲相続とは、本来相続権を有する相続人が相続開始以前に死亡した場合などに、その相続人の直系卑属が相続人としての地位を継承するという制度です。
兄弟間における代襲相続が発生するのは、被相続人に子孫や両親がおらず、兄弟のみが法定相続人となるケースです。
1:代襲相続の成立要件
代襲相続が成り立つためには、以下の要件を満たす必要があります。
・相続人が被相続人より先に死亡しているか、相続欠格・廃除に該当すること
・死亡した相続人に直系卑属(子や孫など)が存在すること
2:兄弟間の代襲相続の事例
例えば、被相続人のAさん(独身で子なし)が亡くなった際、両親や祖父母もすでに他界していて、Aさんの兄弟であるBさんとCさんが法定相続人となった場合を考えてみましょう。
ただし、Cさんが先に死亡していたとすると、Cさんの子どもであるDさんとEさんが代襲相続人となり、Cさんの相続分を相続することができます。
3:代襲相続の範囲について
代襲相続が認められるのは一代限りであることに留意が必要です。
すなわち、兄弟の子ども(甥・姪)までが代襲相続の対象となり、それ以降の世代(甥・姪の子ども)は代襲相続人になることはできないのです。
したがって、先の事例でDさんとEさんが先に死亡していた場合、その子どもが再代襲することはできません。
□相続欠格や放棄の場合における代襲相続
相続人が死亡した場合以外にも、相続欠格や相続廃除によって相続権を喪失した場合には、その相続人の直系卑属が代襲相続人となります。
ただし、相続放棄のケースは代襲相続の対象外となるので注意が必要です。
1:相続欠格について
相続欠格とは、相続人が一定の犯罪行為や不正を行った場合に、法律により自動的に相続権を失うという制度です。
例えば、被相続人や他の相続人を故意に死亡させた場合や、遺言書を偽造・隠匿した場合などが該当します。
2:相続廃除について
相続廃除は、被相続人が家庭裁判所に申し立てを行い、審判や調停を経て特定の相続人の相続権を剥奪する制度です。
被相続人への虐待や重大な侮辱、著しい非行などが廃除の根拠となります。
ただし、被相続人の兄弟姉妹は廃除の対象外とされています。
3:相続放棄の場合について
相続放棄を行った相続人は、相続開始時点から相続人ではなかったものとみなされます。
つまり、相続放棄によって相続権そのものが発生しないため、その相続人の直系卑属が代襲相続人となることはないのです。
□まとめ
本記事では、兄弟間の代襲相続について、その基本的なメカニズムや発生要件を解説しました。
また、相続人の死亡以外にも、相続欠格や相続廃除によって代襲相続が発生する一方、相続放棄のケースは代襲相続の対象外となることを確認しました。
代襲相続は、相続問題において見過ごすことのできない重要な制度です。
特に兄弟間の代襲相続は、近年、子どものいない人が増加傾向にあることから、今後さらに注目が集まるトピックだと言えるでしょう。
代襲相続について正しい理解を深めることで、もしもの時に的確な対応ができるよう、事前の準備を怠らないことが肝要です。