お知らせ

2023.07.07

不動産の取得費が不明な場合の税金はどうなる?

不動産の取得費が不明な場合の税金はどうなる?

相続した不動産を売却する際には、大きな税金が生じてしまうケースがほとんどです。
しかし、どのような計算で税額が算出されているのか、疑問に思っている方はいませんか。
そこで本記事では、税金を計算する際に用いられる不動産の取得費について解説します。
利用できる特例もご紹介しますので、効果的に節税をしたい方はぜひご覧ください。

□不動産の取得費とは?

不動産の取得費とは、その不動産を取得するのにかかった費用のことです。
建物や土地の購入費用だけでなく、不動産会社に支払った手数料や契約を結ぶ際の印紙代、登記手数料などが含まれています。
不動産を売却して発生した利益は譲渡所得と呼ばれているのですが、譲渡所得には税金がかかります。
不動産の取得費は、譲渡所得税を計算する際に必要です。
具体的には、売却価格から取得費と譲渡費用を引いて譲渡所得を計算します。

□不動産の取得費が不明な場合はどうなる?

譲渡所得税の計算に必要な不動産の取得費ですが、取得費がわからないケースもあるでしょう。
親や祖父母から継承されてきた不動産の取得費は、契約書や領収書を元に計算しますが、これらを紛失していると取得費を計算できません。

では、不動産の取得費が不明な場合、どのようにして計算されるのでしょうか。
実は、概算取得費という考えを用いて譲渡所得を計算します。
概算取得費はどんな時も一定で、売却価格の5%とされています。
そのため、売却価格の5%と譲渡費用を足した金額を、売却価格から引けば譲渡所得が計算できます。

概算取得費は、昭和27年12月31日より前から持っていた不動産に対して適用されることが一般的です。
ただ、実際の取得費が概算取得費よりも高いことを示されれば、実際の金額を使用しても大丈夫です。

また、昭和28年1月1日より後に得た不動産でも譲渡所得の計算に概算取得費を用いても良いことになっています。
加えて、実際の取得費がわかっている不動産であっても概算取得費を使えます。
ただし、概算取得費を使う場合には注意点があります。

それは、実際の取得費よりも概算取得費の方が低い場合、譲渡所得税の負担が大きくなる恐れがあることです。
代々継承されてきた不動産は、減価償却分で取得費が低くなって、概算取得費で計算した方が税金の面で有利になることがあります。

しかし、不動産が比較的新しい場合は証拠書類を集めたり、取得費を推測したりした方がかかる税金を安くできる可能性が高いでしょう。
概算取得費を使って確定申告していても、後から書類が見つかれば請求内容を更新できますので、ぜひ知っておいてくださいね。

□相続した不動産に利用できる特例をご紹介!

最後に、相続した不動産に対して適用できる特例をご紹介します。
ここでは、以下の3つの特例をまとめます。

・取得費加算の特例
・相続空き家の3000万円特別控除
・ふるさと納税

1.取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続税を納税した方が土地を売却した際に利用できる特例です。
相続税が発生しなかった人は多いかもしれませんが、そのような方は利用できませんので注意してください。
譲渡所得は、譲渡価額から取得費、譲渡費用、そして取得費に加算する相続税額を引いて計算されます。

この特例を利用すると、取得費に加算する相続税額を譲渡価額から追加で差し引けるため、節税効果が生まれます。
ただ、この特例を利用するには以下のような条件を満たす必要があります。

・相続や遺贈によって財産を取得した
・財産を取得した人に対して相続税が課税されている
・その財産を相続開始の日の翌日から3年を経過するまでに譲渡している

2.相続空き家の3000万円特別控除

相続した不動産のうち、一定の条件を満たしている空き家は更地にして売却したとしても、相続空き家の3000万円特別控除を利用できます。
譲渡所得から3000万円を控除できるため、非常にお得です。
しかし、この特例も主に以下のような条件が定められています。

・相続直前に被相続人の居住用に使用されていた
・昭和56年5月31日以前に建てられている
・マンション以外の家屋である
・相続開始の日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること

3.ふるさと納税

相続した土地であるかどうかにかかわらず、ふるさと納税も有効な方法です。
納税という言葉がついていますが、実質寄付行為であり、応援したい自治体に対して寄付することによって、寄付金控除が受けられます。
この制度では、返礼品ももらえる上に税金控除も受けられるため、ぜひとも活用したいですね。

□まとめ

不動産を売却した際の税金や節税方法について解説しましたが、イメージが湧きましたでしょうか。
相続した土地を売却しようとすると、様々な税金が発生しますが、特例を利用することによって大きな節税効果が得られるでしょう。
ご自身が利用できそうな特例を調べて、ぜひ実践してみてくださいね。

投稿者

  • 久保 元

    宅地建物取引士/管理業務主任者 新卒から建設会社にて、現場監督、注文住宅販売など建築にかかわり、宅建取得とともに不動産営業の世界へ。新築マンション販売では、入社から販売実績を重ね管理職へ昇進。営業マン指導、広告、マーケティング、デザインまで幅広い経験を経て三軒茶屋不動産を起業。地域の賃貸仲介や不動産管理、不動産売買を主たる業務として行い業績を伸ばしております。信頼ある不動産会社をめざして、お客様をサポートさせていただいております。