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2023.08.06

不動産を売却した際の減価償却費について解説します!

不動産を売却した際の減価償却費について解説します!

不動産や車のような固定資産を売却すると、減価償却費を算出する必要があります。
しかし、そもそも減価償却とは何なのか、詳しく理解していない方は多いでしょう。
そこで本記事では減価償却の概要と譲渡所得との関係を解説します。
どのように譲渡所得税の計算に影響してくるのかがイメージできるようになりますので、ぜひご覧ください。

□減価償却とは?

減価償却とは、経年劣化によって価値が下がっていく固定資産について、購入費用を段階的に計上していくことです。
取得した固定資産のうち、一定金額以上については、取得した年に全額を計上するのではなく、決められた期間の間で費用を計算していきます。

減価償却の目的は、費用収益対応の原則に基づいています。
これは、得られた収益に対応した支出のみ計上するという考え方です。
もし資産の取得価額を取得した年に一気に計上してしまうと、その資産が複数年に渡って収益を与えた影響を正確に会計に反映させられません。

そのため、資産の価値がある期間に応じて費用を分配して、費用として計上していくのです。
減価償却は事業体が個人事業主・法人の場合で変わります。
個人事業主は取得した資産の減価償却は義務となっているので、耐用年数に応じて手続きをしなければなりません。

一方で法人の場合は、会計で償却費として計算した金額のうち、限度額になるまでの金額が損金として計算されるので、減価償却は任意となります。
また、取得した固定資産の全てが減価償却できるわけではありません。
資産の中でも減価償却できる資産とそうでない資産があります。

減価償却できる資産は、時間の経過や使用に伴って資産価値が減少するものです。
具体的には建物や生物、ブロック塀のような構築物などがあります。
逆に土地のような時間経過によって、資産価値があまり変動しないものは減価償却できません。

□減価償却費と譲渡所得税の関係は?

減価償却は、不動産売却の際の税金を計算する上で非常に重要な要素になります。
不動産を売却して利益が出ると、その利益に対して税金がかかります。
この利益のことを譲渡所得、それに対してかかる税金を譲渡所得税といいます。
しかし、建物のような不動産は時間と共に資産価値が減少することから、売却益から減価償却費を差し引くことができ、節税につながるのです。

譲渡所得税の金額は、譲渡所得に税率をかけて計算されます。
これは対象となる不動産の用途や所有期間によって変わってきます。
所有期間については、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変化します。
5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以内の場合は短期譲渡所得となって、長期譲渡所得の方が税率が低くなっています。

譲渡所得は譲渡価額から譲渡費用と取得費用を差し引いて計算されます。
ただ、不動産の購入代金は、購入した時の金額ではなく、売却時点での不動産の価値で計算されます。
この売却時の価値を計算するために利用されるのが減価償却なのです。
具体的には、不動産の取得費を計算する際に使われます。

また、資産を公平に課税するために、減価償却資産の種類ごとに価値が減少するペースが法律によって決められています。
これを法定耐用年数といい、次の項で詳しく解説します。

□計算上大切になる耐用年数について解説します!

耐用年数とは、減価償却資産が利用に耐える会計上の年数のことです。
例えばパソコンの耐用年数が4年の場合は、4年で減価償却を完了させることになります。

減価償却には、定額法と定率法の2つの計算方法があります。
定額法とは、固定資産の耐用年数の間、毎期決まった額の減価償却費を計上する方法です。
取得価額に定額法の償却率をかけて算出されます。

一方で定率法とは、固定資産の取得費から減価償却累計額を差し引いた額に対して、一定の償却率をかけて計上する方法です。
費用として計上される減価償却費は毎年減少していきます。

ここで知っておいていただきたいのが事業用と非事業用で減価償却の計算方法が異なるということです。
個人の自宅売却では、建物購入価額に対して0.9、償却率、経過年数をかけて減価償却費が計算されます。

例えば、資産の耐用年数が20年の場合、償却率は20の逆数の0.05と計算されます。
ここに1.5をかけた値が非事業用の償却率となります。
非事業用の方が耐用年数が長くなりますが、耐用年数が長くなる方が償却率が小さくなり、結果的に譲渡所得が小さくなります。

譲渡所得は小さければ小さいほどそこにかかる税金が小さくなるので、結果的により節税になるのですね。

□まとめ

不動産の売却における減価償却について解説しました。
建物のような不動産は時間と共に資産価値が小さくなるので、売却益から減価償却費を差し引くことができ、節税につながります。
また、計算の際には耐用年数も大切になってきます。
事業用と非事業用で計算方法が異なりますので、注意してくださいね。

投稿者

  • 久保 元

    宅地建物取引士/管理業務主任者 新卒から建設会社にて、現場監督、注文住宅販売など建築にかかわり、宅建取得とともに不動産営業の世界へ。新築マンション販売では、入社から販売実績を重ね管理職へ昇進。営業マン指導、広告、マーケティング、デザインまで幅広い経験を経て三軒茶屋不動産を起業。地域の賃貸仲介や不動産管理、不動産売買を主たる業務として行い業績を伸ばしております。信頼ある不動産会社をめざして、お客様をサポートさせていただいております。