2023.01.04
契約不適合責任とは?不動産売却で押さえておきたい注意点
不動産を売却したくても売却後のトラブルが心配でなかなか売却に踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
高額な取引であるため、契約に関して賠償を求められたら、高額なお金を支払わなければならない恐れもあります。
不動産売却のトラブルを避けるために重要なのが、契約不適合責任です。
特に売却する方は、しっかりと確認するべき事項です。
今回は、契約不適合責任の概要と注意点について詳しく解説します。
目次
□契約不適合責任への変更
2020年に、不動産取引には欠かせない民法が改正されたことにより、売主が負う責任が「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ変更されました。
どちらも売主が買主に不動産を引き渡す場合、その不動産が契約内容に適していなかったら売主が買主に対して責任を負うという内容は同じですが、少し意味が異なります。
瑕疵担保責任は物件の瑕疵が引き渡し後に見つかった場合にペナルティが発生した一方で、契約不適合責任は物件内容が契約と異なる場合にペナルティが発生するというものです。
この意味の違いにより、買主保護の面が強くなりました。
売主は契約時に契約書への記載を徹底しなければなりません。
瑕疵担保責任の場合は、「瑕疵」の定義が曖昧だったため、買主にとって責任を追及しにくい状況でした。
一方で、契約不適合責任の場合は、契約内容と一致していないという条件で責任追及できるため、買主は責任追及がしやすい立場になり、売主は契約不適合を避けるために詳細に契約内容を記載しなければならなくなったのです。
また契約不適合が見つかった場合、買主が売主に対して行使できる権限が増え、買主が保護される環境が整備されました。
自分が買主側の場合は良い制度ですが、売主側の場合は徹底して調査と確認をしなければなりません。
□契約不適合責任における5つの権利
多くの場合、売主に原因がある場合はもちろん、売主に帰責事由がなくても行使できます。
ただし買主に原因がある場合は行使できません。
ここでは、買主が行使できる権限について詳しく解説します。
1.損害賠償請求権
この権利は、契約不適合が売主に原因がある場合にのみ行使できます。
売主に原因がない場合は、行使できないので気を付けましょう。
例えば、売主の失火により引き渡す予定だった建物が焼失した場合に、損害賠償を請求できます。
2.契約解除権
契約の解除は、売主に原因がない場合でも行使できます。
契約解除には「催告解除」と「無催告解除」があります。
催告解除とは、売主が債務を履行しない場合において、相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がないときに契約を解除できることです。
無催告解除とは、売主が債務を履行しない場合において、ただちに契約を解除できることです。
契約不適合責任ではどちらの契約解除も可能です。
契約が不適合だった場合だけではなく、追完請求の内容を履行していない場合も行使できます。
3.追完請求権
この権利は、契約不適合な内容を適合するように請求できる権利で、売主に原因がない場合でも行使できます。
方法としては、目的物の修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しなどです。
4.代金減額請求権
この権利は、売主に原因がなくても行使できますが、追完請求した場合に売主が修繕しないときや修繕不可能なときにのみ認められます。
売却後に売買代金の一部を返金されます。
□契約不適合責任を請求されないための注意点
売主に帰責事由がなくても責任を追及できる契約不適合責任では、売主の負担が大きいものです。
もし契約不適合だった場合、損害を被ることにもなります。
それを避けるためにも以下のことを十分に注意しましょう。
*契約書は詳細に記載する
「契約内容不適合」責任とは、契約内容と異なれば追求される責任であるので、最初から引き渡す不動産の状態を詳細に記載しておけば、不適合と認定されるリスクが減少します。
*買主の請求期間を制限する
契約不適合責任を追及できるのは、買主が不適合を知ってから1年以内と定められているため、引渡しから長い期間が経過してから請求される可能性もあります。
忘れたころに請求されるのは誰しも嫌なことです。
そこで請求期間を、契約から3年以内、引渡しから2年以内というように制限することも手段の1つです。
*契約不適合責任を免責する
買主が事業者である場合は、特約で契約不適合責任を免責できることもあります。
免責であると売却しにくいリスクもありますが、1つの手段として検討してみてください。
*弁護士に相談
契約書を徹底して作成することも大事ですが、買主があまりにも不利になる内容だと成立しない恐れもあります。
請求期間の制限や免責など、弁護士に一度相談してみると、リスクが減少するでしょう。
□まとめ
今回は、契約不適合責任について詳しく解説しました。
不動産を購入する際は良い制度かもしれませんが、売却する際は十分に注意が必要な制度です。
売主、買主どちらも契約内容と不動産の状況を怠らないで確認するのがトラブルを避ける1番の方法です。
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