2023.09.30
生前贈与の際に必要な書類とは?手続きの流れについても解説します!
財産を相続するための方法として、「生前贈与」があります。
しかし、生前贈与を行うとどういったメリットがあるのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、生前贈与が持つメリットと生前贈与の流れ、また必要書類についてご紹介します。
目次
□生前贈与のメリットとは?
*相続税対策になる
相続した財産の総額が一定額以上になると、相続税の課税対象になり、相続した財産が高額であればあるほど相続税も高くなります。
したがって、生前贈与を行うことで課税対象となる相続財産を削減できます。
生前贈与は本来贈与税の課税対象ですが、年間110万円までの基礎控除を活用することで、贈与税をかけずに無税で財産を移行することもできます。
ただし、2024年以降に税制が改正され、生前贈与の相続税対策についての規定が変更される可能性もあるため注意が必要です。
*遺産分割トラブル防止につながる
遺産分割の時に起こるトラブルの主な原因の1つは、同じ遺産を複数の相続人が取り合うことです。
遺産額が高額であればあるほど、遺産分割トラブルが起きるリスクは高まります。
したがって、このようなトラブルをなるべく避けるためにも、生前贈与をしておくことが有効です。
生前贈与の対象となった財産は持ち主が移行するため、将来的に遺産分割を行う際のトラブル防止につながります。
*遺産を活用してもらえる
生前贈与をすることで、子育て費用や生活費などに遺産を活用してもらえます。
日本では、高齢世代は多額の財産を保有している方が多い一方で、若者世代は高齢世代ほど資産を持っていない方が多い傾向にあります。
□生前贈与の際に必要な書類とは?
生前贈与をする際には、贈与の詳細を証明する書類である「贈与契約書」が必要です。
生前贈与では、財産を渡す側と財産を受け取る側の両者の間で合意をする必要があります。
財産を送る側は、「財産を無償で与える」との意思表示を行い、財産を受け取る側がこれに応じる場合、合意が書面でなく口頭で行われていた場合でも、法的には贈与の契約が成立します。
しかし、契約を口約束で進めてしまうと、契約者が親しい身内であったとしても互いの認識の違いでトラブルが起きてしまったり、税務署の調査の際に贈与内容を証明できず課税対象になってしまったりと、トラブルが起こる可能性が高まってしまいます。
不動産を生前に贈与する場合は、所有権移転登記手続きを行う際に贈与契約書が必要です。
したがって、書面で契約を結ぶことが必須ではないものの、贈与を証明するためにも書面で残すことが大切です。
□生前贈与をする手順について
1.贈与内容や誰に贈与するのかを決める
何を贈与するのか、誰に贈与するのかによって、準備するべき書類や手続きの方法が異なります。
そのため、生前贈与を検討し始めた際には、まず「どんな財産を」「誰に」贈与しようとしているのかを明確にしましょう。
2.贈与契約を結ぶ
贈与は両者の合意があれば口頭でも成立します。
しかし、口頭の契約だと当人以外は証明できないため、契約の効力は書面に劣ってしまいます。
契約内容をなかったことにされたり、贈与内容の認識が両者で異なってしまったりと、トラブルの原因になることも少なくありません。
契約を結ぶ際は書面で契約を結ぶようにし、トラブルを防止するようにしましょう。
3.財産を贈与する
契約の締結が終われば、契約内容の通り財産を贈与します。
不動産を贈与する場合は、名義を変更するために所有権移転登記をする必要があります。
手続きは、贈与者・受贈者のそれぞれが必要な書類を持って、法務局で登記申請を行います。
4.贈与税を申告し、納付する
贈与税の申告や納付は、贈与を受け取った者が、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに行います。
贈与税は、1年間における贈与財産の合計額が、基礎控除額である110万円以上であれば贈与税の申告が必要です。
ただし、60歳以上の父母もしくは祖父母から18歳以上の子または孫に財産を贈与した場合は、相続時精算課税を選択できますが、贈与税の申告手続きを必ず行う必要があるため注意してください。
5.登録免許税・不動産取得税を納付する
不動産を生前贈与した際は、所有権移転登記を行うときに登録免許税を納付する必要があります。
また、所有権移転登記が完了して、不動産の名義が変わった後には不動産取得税を納付する必要があるため、忘れずに行うようにしましょう。
□まとめ
生前贈与のメリットとして、相続税対策になる、遺産分割トラブル防止につながる、財産を若い世代に活用してもらえるといった、主に3つのメリットが存在します。
また、贈与契約は書面ではなく口頭でも成立しますが、贈与財産が不動産の場合、所有権移転登記を行う際に贈与契約書を作成する必要があります。
ただし、口頭での契約はトラブルの原因になるため、なるべく書面で契約するようにしましょう。