2026.09.13
相続した不動産の共有名義の売却で起こるトラブルとは?対策と解決方法を解説
相続によって取得した不動産が共有名義になっている場合、売却を進める際にさまざまな問題が生じることがあります。
共有者ごとに売却への考え方が異なるほか、連絡が取れない人がいたり、売却価格や費用負担について意見が分かれたりすることも少なくありません。
共有名義の不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
そのため、トラブルを防ぎながら円滑に売却するには、早い段階で状況を整理し、適切な方法を検討することが大切です。
この記事では、相続によって共有名義となった不動産を売却する際に起こりやすいトラブルと対策、専門家へ相談するメリットについて解説します。
相続した共有名義の不動産を売却する際に起こりやすいトラブル
共有名義の不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の合意が必要です。
一方、各共有者は自分の共有持分だけであれば単独で売却できますが、購入希望者が限られ、売却価格が低くなる可能性もあります。
1.共有者間の意見がまとまらない
共有名義の不動産の売却では、共有者ごとに不動産への考え方や事情が異なるため、意見がまとまらないことがあります。
売却したい人がいる一方で、住み続けたい人や賃貸物件として活用したい人、売却時期を待ちたい人がいる場合もあります。
相続をきっかけに初めて連絡を取る親族や、日頃から交流の少ない共有者がいる場合は、話し合いが進みにくくなることもあるでしょう。
また、売却の必要性について合意できても、売却時期や売り出し価格、不動産会社の選び方などで意見が分かれるケースもあります。
2.連絡が取れない共有者がいる
共有者の中に、住所や連絡先が分からない人がいる場合は、売却の意思を確認できず、手続きを進められないことがあります。
海外に住んでいる場合や、転居後の住所が分からない場合などは、戸籍の附票などを利用して所在を確認できる可能性があります。
ただし、単に電話やメールに応じないだけでは、不在者財産管理人の選任が認められるとは限りません。
共有者の所在が分からず、容易に連絡を取れる見込みがない場合は、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。
選任された管理人が不在者に代わって不動産の売却などを行う場合は、家庭裁判所の許可が必要になることもあるため、弁護士などへ相談しましょう。
3.売却価格や費用負担で合意できない
共有者全員が売却に同意していても、希望する売却価格や売却時期について意見が分かれることがあります。
できるだけ高く売却したい人と、価格を下げてでも早く手放したい人がいる場合は、売り出し価格や値下げの判断が難しくなるでしょう。
また、仲介手数料や測量費、建物の修繕費、残置物の処分費などを、誰がどの割合で負担するのかが問題になることもあります。
長期間空き家になっていた不動産では、建物の修繕や庭木の手入れ、家財の処分など、売却前に追加費用が必要になる場合があります。
売却後の代金をどのように分配するかも含め、事前に共有者間で確認しておくことが大切です。
トラブルを防いで売却するための準備と対策
相続によって共有名義となった不動産を円滑に売却するには、共有者全員で必要な情報を共有し、売却条件を具体的に決める必要があります。
話し合いで解決できない場合に備えて、共有状態を解消する方法も確認しておきましょう。
1.共有者全員で売却条件を話し合う
売却を検討し始めたら、できるだけ早い段階で共有者全員が連絡を取り、話し合いの機会を設けましょう。
共有者が遠方や海外に住んでいる場合は、対面だけでなく、電話やオンライン会議などを利用する方法もあります。
話し合いでは、売却の目的や希望時期、売り出し価格だけでなく、不動産会社との窓口になる人も決めておくと手続きを進めやすくなります。
さらに、査定を依頼する会社や最低売却価格、値下げの判断基準、売却前に必要な修繕や残置物処分の方針も確認しましょう。
費用の負担割合や売却代金の分配方法についても、後から意見が食い違わないよう、合意した内容を書面に残すことが大切です。
2.客観的な査定をもとに条件を決める
売り出し価格について共有者間で意見が分かれる場合は、不動産会社へ査定を依頼し、市場価格を確認しましょう。
査定では、周辺の取引事例や立地、土地・建物の状態などをもとに、売却価格の目安が示されます。
複数の不動産会社へ査定を依頼すると、価格だけでなく、査定の根拠や販売方法を比較できます。
ただし、査定価格は実際に売却できる金額を保証するものではありません。
共有者全員で査定結果やその根拠を確認し、売却までにかけられる期間なども踏まえて売り出し価格を決めましょう。
3.共有状態を解消する方法を検討する
共有者全員が不動産全体の売却に合意できない場合は、共有状態を解消する方法を検討します。
例えば、共有者の一人がほかの共有者の持分を買い取る方法や、自分の持分をほかの共有者へ譲渡する方法があります。
自分の持分だけを第三者へ売却することも可能ですが、不動産全体を売却する場合よりも価格が低くなる可能性があります。
また、持分を購入した第三者とほかの共有者との間で、新たな問題が生じることも考えられるため、条件を十分に確認した上で判断しましょう。
話し合いで共有状態を解消できない場合は、共有物分割請求を検討することもあります。
ただし、相続によって共有となった不動産では、遺産分割との関係によって利用する手続きが異なる場合があるため、弁護士へ相談することが大切です。
共有名義の不動産の売却で専門家へ相談するメリット
共有名義の不動産の売却では、不動産の査定や販売だけでなく、登記や共有者間の法的な交渉が必要になることがあります。
相談内容に応じて、不動産会社や司法書士、弁護士、税理士などの専門家を活用しましょう。
1.相談内容に合った手続きを進められる
専門家ごとに対応できる業務の範囲は異なります。
不動産会社には、物件の査定や販売活動、買主との売買条件の調整、売買契約の仲介などを依頼できます。
司法書士は、不動産の相続登記や所有権移転登記など、登記に関する手続きを担当します。
共有者間ですでに法的な争いがある場合や、代理人による交渉、共有物分割請求などが必要な場合は、弁護士へ相談します。
売却による譲渡所得や税金について確認したい場合は、税理士が相談先となります。
それぞれの役割を理解し、状況に合った専門家へ相談することで、必要な手続きを整理しやすくなります。
2.共有者間の話し合いを進めやすくなる
不動産会社から査定価格や売却方法について客観的な説明を受けることで、共有者間の話し合いを進めやすくなる場合があります。
市場価格の根拠や売却に必要な期間、費用などを共有すれば、それぞれの希望だけでなく、現実的な条件を踏まえて検討できます。
ただし、不動産会社が紛争状態にある共有者の代理人として、法律上の交渉を行うことはできません。
共有者の一人が弁護士へ依頼した場合、その弁護士は依頼者の代理人となり、共有者全員に対して中立な立場になるわけではありません。
当事者だけで話し合うことが難しく、双方が中立的な場での解決を望む場合は、裁判所の民事調停などを検討する方法もあります。
3.売却に必要な手続きを確認できる
不動産全体を売却する場合は、共有者全員が売主となり、売買契約や所有権移転登記に必要な書類を用意するのが一般的です。
共有者の中に所在不明の人がいる場合や、有効な意思表示が難しい人がいる場合は、通常とは異なる手続きが必要になることがあります。
共有者が判断能力を欠き、売却について有効な意思表示ができない場合は、成年後見制度の利用を検討することもあります。
ただし、認知症の診断があるだけで直ちに成年後見人の選任が必要になるわけではありません。
共有者の状況によって必要な手続きは異なるため、弁護士や司法書士へ早めに確認しましょう。
不動産会社にも共有関係や売却条件を伝えておくことで、物件の特徴や市場動向を踏まえた販売方法を検討しやすくなります。
まとめ
相続によって共有名義となった不動産を売却する際は、共有者間の意見の相違や、連絡が取れない共有者の存在、売却価格や費用負担などが問題になりやすいです。
共有名義の不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
一方、自分の共有持分だけであれば単独で売却できますが、買い手が限られ、価格が低くなる可能性があります。
トラブルを防ぐためには、早い段階で共有者全員が話し合い、売却時期や価格、費用負担、売却代金の分配方法などを決めておきましょう。
共有者全員の合意が得られない場合は、ほかの共有者への持分譲渡や持分の買い取り、共有物分割請求などを検討することがあります。
ただし、相続による共有不動産では、遺産分割との関係によって必要な手続きが異なる場合があります。
売却活動は不動産会社、登記は司法書士、法的な交渉や訴訟は弁護士、税務相談は税理士など、相談内容に合った専門家を活用することが大切です。
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