お知らせ

2023.11.28

相続人と被相続人の同時死亡の推定は遺産にどう関係する?

被相続人と相続人が同時に、またはほぼ同時に死亡するケースは、その後の遺産分配に大きく影響します。
今回は、被相続人と相続人の死亡の順番と遺産の関係についてと、同時死亡の推定で注意したいことを解説します。

◻︎被相続人と相続人の死亡する順番と遺産の関係

同時死亡の規定が存在する背景には、死亡の順番によって相続人が受け取る遺産が大きく変化する事実があるからです。
例えば、父親と長男が同時に事故に遭ったとして遺産の関係を解説します。
この時、長男は独身であるとします。

*父親が死亡したあと長男が死亡する

父親が長男よりも先に死亡した場合、被相続人が父親で、相続人が妻と長男です。
まず妻と長男は父親の遺産を半分ずつ分け合います。
そして、その後長男が死亡すると、長男の分の遺産も妻が受け取ることになるため、結果的に全額が妻のものになるのです。

*長男が死亡したあと父親が死亡する

逆に、長男が父親よりも先に死亡した場合は、妻が遺産の大部分を、残りは父親の両親が受け取る形になるのです。

*父親と長男がほぼ同時に死亡した場合

父親と長男が事故で即死した場合は、同時死亡推定が働き、長男が先に死亡した場合と同様に、妻が遺産の大部分を、残りは父親の両親が受け取る形になるのです。

◻︎同時死亡の推定の注意点

同時死亡推定が働いた時は3つのことに注意してください。

1.遺言書の取扱い
遺言書が存在する場合、その内容は基本的に優先されます。
しかし、遺言に名前が記された受遺者も同時に死亡した場合、その遺言書は無効となり、法定相続に基づいて分配されます。

2.保険金の受取人
父が保険契約者で子が受取人の場合、両者が同時に死亡すると、新たな受取人を定める必要が出てきます。
この場合、子の相続人が新たな受取人となるのです。

3.同時死亡の推定が覆される場合
同時死亡はあくまで「推定」であり、後にその推定が覆される可能性も考慮する必要があります。
例えば、一度は同時死亡とされたものの、後に誰が先に死亡したかが明らかになる場合、遺産の分配は再計算されます。
このような場合、遺産を少なく受け取っていた相続人は、他の相続人に対して不当利得返還請求が可能です。

◻︎まとめ

遺産の分配は死亡の順番や遺言書など、多くの要素に影響されます。
同時死亡の推定は覆されることもあるので、注意が必要です。
この記事を通じて、相続の複雑性を少しでも理解し、皆様がより明確な相続の準備と対策ができたら幸いです。

投稿者

  • 久保 元

    宅地建物取引士/管理業務主任者 新卒から建設会社にて、現場監督、注文住宅販売など建築にかかわり、宅建取得とともに不動産営業の世界へ。新築マンション販売では、入社から販売実績を重ね管理職へ昇進。営業マン指導、広告、マーケティング、デザインまで幅広い経験を経て三軒茶屋不動産を起業。地域の賃貸仲介や不動産管理、不動産売買を主たる業務として行い業績を伸ばしております。信頼ある不動産会社をめざして、お客様をサポートさせていただいております。