2024.06.06
相続控除のポイントを押さえて安心相続計画!
相続を経験される皆様にとって、相続税の仕組みと計算方法を理解しておくことは極めて重要な事柄です。
相続手続きを円滑に進めていくためには、相続税についての基本的な知識が必要です。
本稿では、相続税の基礎控除と計算方法について詳しく説明いたします。
相続時の疑問や不安を解消し、スムーズな相続手続きに役立てていただければ幸いです。
□相続税と基礎控除の概要
相続税は、被相続人の遺産全体に一律で課税されるものではありません。
課税対象となるのは、遺産総額から基礎控除額を引いた金額だけです。
つまり、基礎控除額が大きければ大きいほど、相続税の負担は軽減されるのです。
1:遺産総額と基礎控除の関係性
遺産総額とは、被相続人のプラスの財産(現金、不動産など)からマイナスの財産(借金、葬儀費用など)を差し引いた金額を指します。
この遺産総額から基礎控除額を控除した金額が、相続税の課税対象となるのです。
2:基礎控除額の意義
基礎控除額は、相続税計算における非課税枠としての役割を担っています。
遺産総額が基礎控除額以下である場合、通常、相続税の申告や納税は必要ありません。
したがって、基礎控除額を把握することは、相続税対策の第一歩だと言えるでしょう。
3:基礎控除額の計算方法
相続税の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で算出します。
法定相続人とは、民法で規定された相続権を持つ人を指します。
例えば、配偶者と子供2人が残された場合、法定相続人は3人となり、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)になります。
4:相続人の人数と基礎控除の関連性
基礎控除額は、法定相続人の人数に応じて増加する仕組みになっています。
相続人が多ければ多いほど、基礎控除額は大きくなり、相続税の負担は軽くなる傾向にあります。
ただし、相続人の人数だけでなく、遺産総額とのバランスも考慮しなければなりません。
□相続税計算のステップバイステップ解説
相続税の計算は、一見すると複雑に思えるかもしれません。
しかし、以下の5つのステップに沿って進めていけば、スムーズに計算することができます。
1:課税価格の算定
相続税計算の基礎となる課税価格を算定します。
被相続人のプラスの財産からマイナスの財産を引いた金額が課税価格となります。
生命保険金や死亡退職金がある場合は、非課税枠を控除したうえで課税価格に加算します。
2:課税遺産総額の算定
課税価格から基礎控除額を差し引くことで、課税遺産総額を算定します。
例えば、課税価格が9,000万円で法定相続人が4人の場合、基礎控除額は5,400万円(3,000万円+600万円×4人)となり、課税遺産総額は3,600万円(9,000万円-5,400万円)になります。
3:総相続税額の算定
課税遺産総額を法定相続分で割り振り、各相続人の仮の課税遺産額を求めます。
その後、「相続税の速算表」を使って各人の仮の相続税額を計算し、それらを合計することで総相続税額を算定します。
4:実際の相続分による割り振り
総相続税額を実際の相続分で割り振ります。
配偶者や未成年の子供がいる場合は、税額の軽減措置が適用される可能性もあります。
5:各相続人の納税額の確定
実際の相続分で割り振られた相続税額から、各相続人が負担した債務や葬儀費用などを差し引くことで、最終的な納税額が確定します。
□まとめ
相続税の基礎控除と計算方法について理解を深めることは、相続対策を講じるうえで不可欠です。
基礎控除額は遺産総額から控除されるため、相続人の人数が多いほど有利になる傾向があります。
また、相続税の計算は5つのステップに分けて進めていくことで、円滑に行うことができます。