2024.08.05
認知症で遺産分割協議はできるのか?親族が相続において後見人になる可能性は?
相続が発生した際に、親族が認知症であることに不安を抱え、スムーズな遺産分割協議を望む、冷静かつ現実的な考えを持つ方へ。
この記事では、認知症の親族が相続人である場合の遺産分割協議における問題点、成年後見制度の活用方法、親族が後見人になる可能性や報酬の発生など、具体的な事例を交えて分かりやすく解説していきます。
□認知症の相続人がいると、遺産分割協議は難航する?
相続人が認知症の場合、遺産分割協議がスムーズに進まないだけでなく、様々な問題が生じる可能性があります。
1:遺産分割協議が進まない
相続が発生すると、亡くなった方の財産は凍結されます。
銀行預金は下ろせなくなり、不動産も売却や賃貸ができません。
この凍結を解除するためには、遺産分割協議で「誰が相続するか」を全員で合意する必要があります。
しかし、認知症の相続人がいる場合、判断能力が低下しているため、意思表示が困難となり、協議が進まないケースが考えられます。
2:勝手に代筆することは無効
認知症の相続人がいるからといって、他の相続人が代わりに遺産分割協議書などに署名することは無効です。
私文書偽造罪に問われる可能性もあるため、絶対にやめましょう。
3:相続放棄ができない
認知症の相続人は、法律行為ができないため、相続放棄もできません。
他の相続人が代わって手続きをしようとしても、家庭裁判所は受け付けません。
□成年後見制度を利用すれば、遺産分割協議を進められる!
認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議を進めるためには、成年後見制度の利用が有効です。
1:成年後見制度とは
成年後見制度は、判断能力が低下した方の代わりに、後見人が財産管理や契約などを行います。
後見人は、家庭裁判所によって選任され、親族以外に弁護士や司法書士などの専門家も選ばれる可能性があります。
2:後見人の役割
後見人は、被後見人の代理人として、遺産分割協議に参加し、意思表示を行うことができます。
また、相続放棄の手続きも代行できます。
3:手続きの期間
後見人の選任には、家庭裁判所への申立てから1~3か月ほどの期間が必要です。
相続税申告の期限は10カ月なので、なるべく早く手続きを進めることが重要です。
4:報酬の発生
後見人には、報酬が支払われます。
報酬額は、後見人の職種や業務内容によって異なります。
5:親族が後見人になる可能性
親族が後見人になることは可能です。
しかし、家庭裁判所は、専門家のほうが適任と判断する場合もあります。
親族が後見人になる場合は、被後見人の利益を最優先に考え、責任感と能力を備えていることが重要です。
□まとめ
認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議は難航する可能性があります。
成年後見制度を利用することで、スムーズな協議を進められます。
後見人は、親族以外に専門家も選ばれる可能性があります。
親族が後見人になる場合は、責任感と能力を備えていることが重要です。